こんにちは、マーキー(@ma_ky1)です。
今回は「海外派遣労働者健康診断」のお話です。
海外に業務で派遣される方は該当するかもしれません。
海外派遣労働者健康診断とは
法律で定められた健康診断になります。事業者が海外での業務に従事する労働者に対して実施する健康診断です。
「定期健康診断」の関係法規
『労働安全衛生法』によって定められています。
「労働安全衛生規則 第四十五条の二」に、
事業者は、
・国外に6月以上労働者を派遣しようとする時
・国外で6月以上派遣された労働者を国内に従事させる時(一時的に就かせるときを除く)
労働者に対して一般定期健康診断と厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目の健康診断を行わなければならない。
と規定しています。
(条文詳細は電子政府の総合窓口(e-Gov)を参照してください。)
実施義務
『事業者』に実施義務があります。
※労働者には受診義務があります。
対象者
『労働者』が対象です。
「常時使用する」という条件がないため、すべての労働者が対象となると解釈されます。
実施時期
・海外派遣の前後です。
具体的な実施時期の規定がありませんが、業務に従事しうる健康状態かの判断は直近で行われるべきものです。
でも具体的にいつ受診すればいいのかな?
下記の省略項目の規定から、海外に派遣される際の健康診断は6か月以内に実施することが妥当と考えられるでしょう。
3 第一項の健康診断は、第四十三条、第四十四条、前条又は法第六十六条第二項前段の健康診断を受けた者(第四十三条第一項ただし書に規定する書面を提出した者を含む。)については、当該健康診断の実施の日から六月間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。
国内での業務に戻る場合の健康診断には規定はありませんが、できる限り早期に健康状態の確認が実施されるべきでしょう。
検査項目
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
- 胸部エックス線検査
- 血圧の測定
- 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
- 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
- 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
- 血糖検査
- 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
- 心電図検査
厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目
- 腹部画像検査
- 血液中の尿酸の量の検査
- B型肝炎ウイルス抗体検査
- ABO式及びRh式の血液型検査
- 腹部画像検査
- 血液中の尿酸の量の検査
- B型肝炎ウイルス抗体検査
- 糞便塗抹検査
省略できる項目と基準
渡航前後において、定期健康診断の省略基準を準用しますが、当該健康診断における省略対象の項目は下記です。
3.身長
4.胸部エックス線検査
※医師が必要でないと認めた場合のみ省略可能
詳しくは下記の定期健康診断の省略基準を参照してください。
https://kenshin-kenko.com/checkup-regular/#toc7
まとめ
いかがだったでしょうか。
グローバル化が進み、多くの企業が世界に進出している時代です。ここ数十年の間に海外で活躍している労働者も多いことでしょう。国外という特殊な環境での業務となれば、労働環境の違いをはじめ、食事や運動などのライフスタイルの変化を求められます。同時に、長期間の変化に順応するための健康状態が求められます。
海外でのライフスタイルの変化が身体に及ぼす影響は単なる表面的な健康状態のみならず、メンタルなどの精神面の影響が大きいと考えられます。文化が異なることから人間関係でのコミュニケーションも課題となる場合もあるかもしれません。
派遣期間も人それぞれで半年から数年以上滞在するケースもあり、影響の大きさも個人差があるでしょう。そのため国内に戻って業務に付くとしても、長期の海外生活が健康状態に影響が無いかのチェックは重要です。
厚生労働省が必要と認める場合の検査からも海外での生活が身体に及ぼす影響や感染症などの項目が含まれるのはこのことからもわかると思います。
この健康診断のポイント
・6か月以上の海外派遣の前後で実施
・すべての労働者が対象
・海外生活を想定した検査項目の追加
受診結果の確認は下記を参照してください。